選手ひとりひとりの判断力が分かるように試合を観察しよう

三浦直弥 講師

三浦です。

先週末、5年生主体の交流大会に参加しました。

2試合行って1勝1敗という結果ですが、負けた試合で大きな収穫がありました。

勝った試合では5点を取ることが出来たのですが、負けた試合でも5点を許してしまいました。

小学生のサッカーの場合は、先制されて追加点を許すと戦意喪失になってしまうので、3点先制されると立て直すことが難しいです。

勝った試合では、運良く前半で3点を奪うことが出来たので相手の動きが悪いうちにゲームを試合することが出来ました。

この試合で気が緩んだのか、2試合目で早々に先制点を許すと連続失点してしまい、こんなはずではないという空気が流れて選手たちの動きが止まりました。

ハーフタイムでは次のような話をしました。

「交流大会なんだから結果は気にするな、ホイッスルが鳴るまで思い切りプレーしよう、いい相手との試合を無駄にするな」選手たちは気持ちが少し切り替わった様子でした。

「相手の10番の動きがいいけど、どんなプレーしてた?」

すると、チームの半分はキョトンとした反応でした。

ディフェンスの選手はさすがに答えてくれました。

「奪おうとするとパスを出される」

「トラップの前にフェイントを入れてくるので捕まえにくい」

さすがにディフェンス陣は相手の10番にやられているのでよく覚えている様子です。

「後半はその10番の動きをどれだけ止められるかチャレンジしてみよう。

10番にボールを持たれれば止められないかもしれないけど、ボールを持たれないようにすればいい。

誰がパスを出そうとしているかよく見ること。

ボールばかり見ていると10番に逃げられてしまうぞ。」

ハーフタイムの指示を選手たちはどんなプレーで再現してくれるか見ものでした。

後半が始まると、相手チームのセンターハーフである10番よりも後ろにいる選手たちがチラチラと10番を意識しているのがわかります。

前半は相手チームのボールを持っている選手にばかり見ていました。

10番の選手は味方がボールを持とうとするちょっと前にスペースを探して動きます。

うちの選手の人と人の間とか、裏とかのスペースを狙っているようです。

10番は短いパスはすばやく寄ってパスを受けますし、スペースでボールを受ける時はパスされたボールと自分のスピードがちょうどタイミングが合うような動きをします。

うちの選手のディフェンス陣は、スペースにボールが出された瞬間に10番を見ていません。気づいたら10番がボールをコントロールしていたという結果です。

慌てて奪いに行こうとするうちの選手たちを尻目に、寄って行った瞬間に味方にパス!

やるな~10番。

パスされたボールを奪おうと動き回るうちのチームの選手たち。

この時、だれも10番を見ていません。

気づくとペナルティエリア中央にいる10番にクロスボールが入りました。

10番のシュート!

このような場面が後半だけで3回か4回ありました。

試合終了後の選手たちのコメントは、10番だけでなく、10番にパスをする選手とか10番がパスを出す相手まで見ていないとやられちゃう・・・というものでした。

「分かって来たね、君たち。回りを見るということが大事なことは知っていても回りを見るってどういうことか、この試合で身に沁みたと思う」

小学生のサッカーでは、どれだけ回りが見えるようになるのか、見ないとどうなるのか何を見ないといけないのか、具体的に身につけることが大切です。

回りが見えるようになったかどうかのバロメーターとして試合を行うこと。

試合の緊張感の中で回りが見えるように努力すること。これが大事ですね。

勝ち負けにこだわりすぎると、このような「回りを見る」という考え方がおろそかになってしまうことがあります。

選手ひとりひとりの判断力が分かるように試合を観察したいものです。

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この記事を書いた人三浦直弥三浦直弥
小学4年生からサッカーを始め、中学、高校、大学、社会人とサッカーを楽しみつつ、大学生の頃からコーチングの道を歩み始め、指導の楽しさも知る。現在アラフィフのサッカーマンである。理論派でありながら熱い血潮を持つタイプ。サッカーの本質を突く指導がモットー。現在は、東京都のある街クラブでヘッドコーチを努めている。
好きな選手は故クライフ、そして自分の姓と同じ三浦カズ!好きな指導者は、森保監督の育ての親とも言えるオフト、そしてオシム。座右の銘は「諦めたらノーチャンス」。チーム運営や保護者対応などにも詳しく、近年はメルマガやブログへの寄稿活動も行っている。
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