パスワークを成功させる考え方

スキルアップ ポジション パス 練習法 講師

■高校サッカーの技術向上の背景

今回の大会を観戦して思うことは、いわゆる「ドカ蹴り」のチームが少なくなったということです。

トーナメント方式で戦うので、ゴール前にドーンとボールを放り込んでこぼれ球を狙うという戦い方はある意味では合理的です。

サッカーには「偶然」がつきものなので、ゴール前の浮玉が予想外のバウンドをすることもあります。

運を引き寄せることも実力のひとつと言えますが、ドカ蹴りがなぜよくないかというと、中盤のプレーを省略してしまうからです。

後ろから来たボールを前に運ぶ、スペースを見つける、スペースを作るという動きが省略されるので、つなぐサッカーに比べると細かい技術が身につきにくいと言われています。

しかし、近年の高校サッカーは、プレミアリーグへの参戦などレベルアップに余念がありません。

その成果は、冬の高校サッカー選手権大会で現れます。

前を向いて技術を披露していく各チームのプレーを見ていると世界の18歳、17歳を意識しているようで、頼もしいです。

■パスの正解、不正解とは

サッカーを観戦していてワクワクする場面のひとつに、中盤からペナルティエリアにかけてのパスワークがあります。

昨年12月に行われたU12全国大会では、卓越した技術を持つチームが素晴らしいパスワークを見せてくれました。

このパスワークですが、僕たち指導者が指導する際に、ある悩みがあります。

それは、パスが通れば成功、カットされれば失敗ということで片付けられないからです。

コースもタイミングもよいが、パススピードが弱くてカットされることもあります。

わずかな隙間に強引に強いボールを蹴って通すというパスもあります。

相手の読みが優れていてカットされることもありますし、受け手の寄りが甘くてパスが渡らないこともあります。

■マークがついている味方にパスを出すか、出さないか

パスの受け方として、マークを外してフリーになって受けるというセオリーがあります。

ジュニアサッカーでは、この「マークの外し方」をトレーニングします。

フリーになりそうな味方を探してパスをすれば、ミスをする確率が減ります。

パスを受ける選手もフリーで受ければ、次のプレーがやりやすいですね。

味方のプレーを考えれば、フリーの選手にパスを出すことが正解のように見えます。

■マークされた味方へのパスもある

しかし、パスには様々な目的があります。

例えば「くさび」と言われる縦パスがそうです。

相手ディフェンダーにマークされたフォワードが、相手をブロックしつつワンタッチでリターンパスを返すプレーは

「フリーになって受ける」というセオリーに反します。

パスの出し手は、マークがついていることを承知でパスを出します。

受け手が、ボールを持って反転することなど考えていないので、ワンタッチでリターンできるパスを出します。

このような「共通認識」があれば、セオリーとは別の意味のパスが成立すると言うわけです。

■フォワードへのパス

基本的にフォワードがマークされていないということはありえません。
そのフォワードにパスを出す場合、3つのパターンが考えられます。

・リターンパス(ワンツーを含む)

・前を向くパス

・スルーパス

僕が好きなパスは、リターンパスを使うものです。

相手ゴール前、ペナルティエリアライン付近でのワンツーで相手チームの逆を取るプレーは、サッカーらしいプレーです。

僕は、小学生にサッカーを指導するときに「サッカーならではのプレー」を意識してプレーさせています。

スルーパスも「オフサイドルール」があるサッカーらしいパスと言えます。

ラグビーでは許されない、前方へのパスも、フォワードの前に1人以上のディフェンダーが入れば、オンサイドとなります。

ボールを持って相手を抜きにかかるプレーもサッカーならではと言えますね。

■運ぶパス、つなぐパス

うちのチームの課題は、これらの「組み立てのパス」です。

ペナルティエリアにボールを運び込むためにはどうすればいいか?

相手に奪われずにボールを運ぶという「パスワーク」です。

この考え方がなかなか指導出来ずにいます。

というのは「ボールを持ったら、必ずビッグチャンスを作るパスを出さなければならない・・・」

という呪縛があるようです。

ボールを持ったらすべてがチャンスとは限りません。

ボールを受けた時に、相手チームや味方の位置を見て、シュートまで繋げられそうな状態なのかどうかを判断して欲しいです。

セーフティに自軍で回すのか、いったんタッチラインに逃げるのか、戦況にもよります。

ボールを持ったら前を向くというプレーを求めていますが、自分の技術と状況で判断することが必要です。

ミスしてもめげないためには、チャレンジだという強い気持ちでプレーすることが大切です。

■ピッチ内いる16人

ジュニアサッカーは、ピッチ内に16人の選手がいます。

味方は自分以外に7人です。8人の選手がボールを奪いに来ます。

このように考えると、自分は8人中のひとりであるということに気づくと思います。

味方を使う、味方に使われる。

パスが選手と選手をつないでいるということに気づくと、サッカーのレベルがワンステージ上がるように思います。

相手の立場になってプレーしてみましょう。

頑張って下さい!

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