日本の指導ポイントであるパス&ムーブとは?

三浦直弥

三浦です。

U24スペイン相手に先制点を奪い、後半はオーバーエイジを下げて7人の選手交代でも、引き分けに持ち込むことができたU24日本代表。

東京オリンピック開幕直前の、キリンチャレンジカップ日本代表U24対スペイン代表U24の試合を観て、日本のサッカーの新しい時代を感じました。

縦に突破した久保のマイナスのクロスを受けた堂安は、ダイレクトでスペインゴールにシュートを放ちました。

スペイン代表としてユーロ2020で活躍したシモンも、反応するのがやっとという素晴らしいシュートです。

ここしかないというタイミングと、ここしからないというコースでした。

海外メディアも絶賛した、日本のプレー。

オリンピックでの活躍が、楽しみです。

スペインのパスサッカーをお手本にした日本

一時期、日本のサッカー指導は、スペインサッカーをお手本にしようという方針を打ち出していました。

欧州の中では小柄なスペイン人が、高度な技術とスピードあふれるプレーでユーロやワールドカップで活躍していました。

2008年のユーロで優勝したスペインは、2010年ワールドカップで優勝しました。

バルセロナの選手が主体となり、イニエスタやシャビという名手を揃えたスペインは、無敵艦隊という言葉がピッタリでした。

技術面では、ズバリ「ショートパス」の正確さです。

もちろんドリブルの技術も超絶なのですが、ドリブル主体ではありません。

あくまで、

  • ボールを失わないための手段
  • 相手を抜くためのドリブル

です。

ボール支配と攻撃の主体は、ショートパスでした。

日本の指導ポイント

そんなショートパス主体のサッカーをするためには、どんな練習をしたらよいか。

当然、ショートパスを回す練習をするのですが、それよりも重要なことが「動く」ことでした。

パス&ムーブ

パスを出したら動くということです。

人もボールも動くサッカーという言葉は、この頃に生まれたように思います。

前オシム代表監督時代も、「動く」ことがとても重視されていました。

ボールコントロールを磨くことよりも、試合で求められる動く能力が大事ということです。

どこへ、いつ、誰が動くのか。

サッカーをはじめたばかりの小学生に、どんな指導をして良いか迷ったものです。

判断基準は、「スペースに動くこと」です。

そして、動くことによってそこにスペースができるので、味方のためのスペースを作ることにもなります。

味方の動きを見ることが、スペースを見つけるために大事なことです。

走るサッカーとは、トータルの運動量を増やすことではなく足を止めずに動き続けるということなのだなと実感しました。

小学生のサッカーでのメリットは、全員がサッカーの試合に集中できるようになったことです。

今までは、ボールがある所では選手は動いていましたが、ボールから遠い場所では足が止まっていました。

しかし、人もボールも動くサッカーでは、ボールから遠いサイドでもボールがすぐに来る可能性があるので、足を止めるわけにはいきません。

2011年には、少年サッカーが8人制になりました。

  • 小さいコート
  • 少ない人数

によって足を止められない状況になり、動きについては「質」を求められるようになっていきました。

なでしこジャパンが世界に示した日本人とショートパスサッカーの関係

2011年、東日本大震災のあった年の女子ワールドカップで優勝したなでしこジャパンは、アジアのバルセロナと言われるほどのパスワークを持っていました。

  • ロングボールを蹴ること
  • 長い距離を走ること

については、なでしこジャパンは苦手でしたが、ショートパスをつないで全員で攻撃するスタイルは、日本人のサッカーにマッチしていました。

基本に忠実ななでしこジャパンは、ボールコントロール時にはボールを見てすぐにルックアップし、パスを出したらスペースに走る。

ひとりがボールを持ったら、2人、3人の選手が動くので相手チームは翻弄されてしまいます。

  • 体格の大きな選手
  • 身体能力の高い選手

を揃えた強豪チームを相手にしても、1対1の対人プレーでは勝てませんが、2対1の場面を作れば勝つことが出来ます。

パスの質と動きの質の高さで、決勝ではアメリカを相手に勝利することが出来ました。

あの時のメンバー、

  • センターバックの熊谷選手
  • フォワードの岩渕選手

は、今回の東京オリンピックのメンバーとして残っています。

オリンピックでの活躍が楽しみです。

女子サッカーは、明日21日からゲームが始まります。

  • ショートパスをつなぐこと
  • パスを出したあとの動き

に、注目してください。

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この記事を書いた人三浦直弥三浦直弥
小学4年生からサッカーを始め、中学、高校、大学、社会人とサッカーを楽しみつつ、大学生の頃からコーチングの道を歩み始め、指導の楽しさも知る。現在アラフィフのサッカーマンである。理論派でありながら熱い血潮を持つタイプ。サッカーの本質を突く指導がモットー。現在は、東京都のある街クラブでヘッドコーチを努めている。
好きな選手は故クライフ、そして自分の姓と同じ三浦カズ!好きな指導者は、森保監督の育ての親とも言えるオフト、そしてオシム。座右の銘は「諦めたらノーチャンス」。チーム運営や保護者対応などにも詳しく、近年はメルマガやブログへの寄稿活動も行っている。
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