2対1の壁パスから学ぶ数的優位とは

三浦直弥 パス 練習法 講師

三浦です。

サッカーの練習方法にはいろいろありますが、私はコンビネーションの練習が好きです。

コンビネーションプレーで思い浮かぶものは、壁パスです。

ワンツーパスとも言いますね。

2人のコンビネーションが噛み合って成功するのですが、1対1の突破と比較してメリットやデメリットはあるのでしょうか。

また、壁パスの練習は何年生から始めればいいのか。

私の経験から解説します。

2人で1人を抜く

壁パスは、1人の相手ディフェンダーを抜くために2人で仕掛けます。

言い方を変えれば、1人のディフェンダーをなかなか抜ききれないときに、もうひとりが協力(サポート)して突破するとも言います。

1対1の攻防では、個人スキルの戦いになるので、勝てる確率は相手のディフェンス力次第ということになります。

しかし、そこにもうひとり加わることで、勝てる確率がグ~ンと上がります。

それをサッカーでは、「数的優位」と言います。

同じ人数で戦うサッカーですが、局面で人数を増やすことで有利になります。

基本的な数的優位である2対1の形が作れると、チーム力がアップします。

壁パスは何年生から?

壁パスの練習を、小学1年生から積極的に取り入れているチームは少ないと思います。

3年生以下では、

  • 自分
  • ボール
  • 相手

という関係を意識したトレーニングが効果的な時期です。

つまり、ドリブルですね。

相手に奪われないようにボールを運ぶ。

相手を抜くということです。

そこに、味方を使って抜くという意識はありません。

相手に向かうという意識が重要です。

また、壁パスを成功させるためには、正確なインサイドキックが必要です。

強さと速さも必要です。

3年生以下でも、インサイドキックが上手に蹴れる子もいます。

が、チーム練習としては、8割以上の選手がインサイドキックを正確に強く蹴れるようにならないと、壁パスの練習の効率があがりません。

私のチームでは、3年生の後半から4年生の前半にかけて、壁パスのトレーニングを導入しています。

絶対優位な2対1にするためには

サッカーの試合では、2対1の場面をたくさん作ることで、試合を優位に進めることが出来ます。

それなのに、2対1で相手を抜けない・かわせないということは、とても損なことです。

私のチームでも、2対1の場面でボールを失うことが時々あります。

なぜ、2人なのに負けてしまうのか。

それには2つ理由があります。

1対1で仕掛ける気持ちがたりない

  • 2人だから、味方を使わなければならないということはありません。
  • 2対1の場面だから、壁パスを使わなければならないということもありません。

2人だからパスを選択しようという一択しかないと、そのパスは読まれます。

  • 1人で抜くつもりなのか
  • パスを出すのか

など、わからない状態を作るから壁パスは成功するのです。

  • 相手に読ませない
  • 判断を迷わせる

ここが、ポイントです。

2対1を成功させるためには、1対1で挑む

  • 気持ち
  • フォーム
  • 雰囲気

を作ることです。

壁の選手のスキルが足りない

2対1で壁となった選手は、必ずリターンしなければならないというルールはありません。

ボールを受けて前を向けるなら、リターンせずに仕掛ければいいのです。

相手チームのディフェンスは、リターンすると見せかけてリターンしない動きがとても困ります。

リターンすることがわかっていれば、最初にボールを持った選手をマークすればいいからです。

そこで、ボールを奪うことが出来ます。

しかし、リターンせずに前を向かれてしまったら、守備の1歩が遅れます。

「しまった!リターンパスじゃなかったのか」と思わせて、相手ディフェンダーを困らせること。

これが、壁パスの醍醐味です。

私のチームでも、必ずリターンパスをする選手はパスミスが多いです。

壁となる選手は、リターンパスの角度や強さを調節するスキルも大事ですが、リターンしないというスキルも大事です。

いかに上手な壁になるか。この意識を持つことでスキルがアップします。

壁にはいいボールをパスしよう

壁役がいいプレーをするためには、壁役にいいボールを渡さなければなりません。

通常は、2タッチ以内でボールがリターンされるので、壁役の利き足も考えて蹴りやすい場所にボールをパスします。

スペースがある場所で、相手ディフェンダーのプレッシャーがきつくなければ、2タッチで返してもよいでしょう。

スペースがなくスピードが必要が場面では、ワンタッチでのリターンが必要です。

ワンタッチでボールをリターンしてもらうためには、ある程度強いパスやゴロのパスが必要です。

壁役がインサイドで触るだけで、リターンできるような強さが必要です。

壁パスはパス&ゴーだけでない

紹介した壁パスは、「パス&ゴー」が基本です。

しかし、出したら動くという前への「ゴー」の動きを、「ムーブ」に変えることにもチャレンジしてみましょう。

  • 攻撃方向ではなく横方向に動いてボールを受けるパターン
  • 壁役の背中側を回るというパターン

など、多彩なコンビネーション練習を行うことが出来ます。

実戦で試したくなる楽しい練習です。

ぜひ活用してみだください。

この記事を書いた人三浦直弥三浦直弥
小学4年生からサッカーを始め、中学、高校、大学、社会人とサッカーを楽しみつつ、大学生の頃からコーチングの道を歩み始め、指導の楽しさも知る。現在アラフィフのサッカーマンである。理論派でありながら熱い血潮を持つタイプ。サッカーの本質を突く指導がモットー。現在は、東京都のある街クラブでヘッドコーチを努めている。
好きな選手は故クライフ、そして自分の姓と同じ三浦カズ!好きな指導者は、森保監督の育ての親とも言えるオフト、そしてオシム。座右の銘は「諦めたらノーチャンス」。チーム運営や保護者対応などにも詳しく、近年はメルマガやブログへの寄稿活動も行っている。
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