ボールコントロールの目的とは?

三浦直弥

三浦です。

3月に入ったとたんに、知り合いのチーム複数から新チームによる交流試合の申し込みがありました。

3月は卒団イベントの行事もあり、毎週末の予定調整が大変です。

去年のこの時期は練習すらまともに出来なかったので、状況は良くなってきているのかなと思います。

さて、今回の記事では個人技術について解説したいと思います。

4月から6年生になる選手は、特によく読んでくださいね。

ボールコントロールとは

サッカーの基本は、

  • 止める
  • 蹴る
  • 運ぶ

と言われますね。

止めることが最初に来ることで、重要性がよくわかります。

サッカーはボールを蹴れないと始まらないと言われますが、試合中に止まったボールを蹴る場面は少なく、ほとんどは動いているボールを「止めて」「蹴る」場面ばかりです。

さて、止めることを

  • ボールコントロール
  • トラップ

とか言いますね。

コーチング用語としてはトラップという言葉はないのですが、サッカー経験のある保護者やコーチはトラップという言葉がすっと出てくるようです。

今回のメルマガでは、「コントロール」という言葉で統一します。

  • 自分にパスされたボール
  • 相手のパス
  • どちらでもないルーズボール

このような動いているボールを自分のものにするために、ボールをコントロールする必要があります。

コントロールとは、「ピタッと」止めることだったり、自分が扱える範囲内に移動させることだったり、必ずしも人もボールも止まらなければならないという訳ではありません。

それは、空中にあるボールも同じことです。

相手に触れないけど自分には触れる状態、だけどボールはバウンドしている。

これも、コントロールしていると言えます。

基本は止めること

動いていてもボールをコントロール出来ているという状態は、レベルとしては高度です。

基本は、ボールを静止させることです。

動いているボールに、足のインサイドやインステップを当てるという技術は高度です。

これは、ボレーシュートをやったことのある選手や保護者なら、よくわかるでしょう。

また、静止したボールをヘディングすることはありえないので、これも空中にある動いているボールを扱う技術です。

レベルとしては、高度ですね。

止まっているボールを蹴っても、必ずしも正確に蹴れるとは限りませんが、微妙に動いていたりすればキックの正確性は低くなります。

ボールを弾いてしまう

ボールを止める時に、「足を引く」と教わっている選手は多いと思います。

  • ボールの勢いを吸収する
  • 勢いを殺す

とか表現は様々ですが、インサイドトラップにおいても、ボールに当たる瞬間に足を引くという指導をよく見かけます。

ボールを弾いてしまう選手、つまり、トラップが苦手な選手の場合は、この「引く」動作を意識しすぎているように思います。

ボールを迎えに行った足を引く前にボールの勢いが強すぎると、まるでボールを蹴り返しているような動きになります。

止めようとしているのに弾いてしまう。

これがその理由です。

ボールを弾いてしまう選手の特徴

コントロールの瞬間、ボールにタッチする瞬間の足が地面についていませんか。

コントロールの瞬間に足を引こうとして足を出すのはいいですが、その時に地面に足がついていたらほぼボールは弾かれてしまいます。

弾かれるだけでなく、ボールは宙に浮いてしまうので、さらにコントロールが難しくなります。

保護者の方は、お子さんのパス練習を見学している時に、コントロールする足をよく見てあげてください。

地面についている癖があるようでしたら、直すべきです。

自分にパスされたボールに、走って迎えにいってコントロールする時であっても、ボールに触る足は地面についていてはいけません。

地面から浮かすこと。

これは、体験してみるとよくわかります。

上手な選手はコントロールの瞬間に足を浮かせている

コントロールする足を浮かすコツは、

  • 膝を上げる
  • 股関節を曲げる

ことです。

軸足でしっかり立って、コントロールする足を浮かそうとすると、動きが固くなります。

軸足も、空中に浮いていてもよいくらいです。

コントロールが上手だなと思う選手の中には、ボールに触る瞬間に軽くジャンプする選手もいます。

その時、足は決してボールを迎えに行っていません。

浮いている足に、ボールが当たる瞬間にボールが止まります。

地面と足の間にボールが挟まって勢いが弱まるようにも見えますが、インサイドの広い面でボールをタッチすることが安定したコントロールのコツですね。

ウエッジコントロールとクッションコントロール

コントロールには、2種類あると言われます。

  • 足のウエッジ(インサイド、アウトサイド、足裏)と地面の間にボールを挟んで勢いを弱める方法
  • ボールの動きに合わせて足を引いて、そっとボールを地面に置くクッションコントロール

グラウンダーのボールコントロールは、コントロールする時間をなるべく短くして次のプレーに移る必要があります。

空中にあるボールは、ウエッジコントロールで落下点を自由に変えることや、クッションコントロールで時間をかけて自分のボールにすることが出来ます。

この使い分けには、ルールはありません。

相手に奪われにくいところで、次のプレーがしやすいところにボールを置くこと。

これが、コントロールの目的だからです。

止めるから蹴るまでを素早く!

川崎フロンターレ監督をしていた風間八宏さんは、止めてから蹴るまでのスピードを、なるべく早く・素早く行うことを徹底していました。

ドイツでサッカーを学んだ風間さんは、日本でも屈指のテクニシャンでした。

が、その風間さんがそこまでこだわる理由は、

  • 止めることに時間をかけているとボールを奪われやすいこと
  • 次のパスコースが読まれてしまうという現代のスピードサッカーに対応すること

が目的のようです。

小学生のサッカーでのコントロールとは

小学生のサッカーでも、止める蹴るを素早く行うことは必要です。

しかし、基礎を身につける段階なので、まず「止める」ことに集中してトレーニングしてみてはどうでしょうか。

選手がパスミスした時に、その原因がキックミスだったのか、コントロールミスだったのか。

分析をしないまま、パスミス=キックミスと解釈してしまう場面をよく見ます。

ボールをキチンと止められていれば、パスミスにならかったのでは?

思い通りの場所に止められなかったから、止めるつもりが動いていたから正確にキック出来なかった。

コントロールミスで相手に奪われることだけがミスではなく、パスミスの原因のひとつでもあるコントロールミス。

3月は、「コントロール強化」をトレーニングテーマにあげてみてはどうでしょうか。

この記事を書いた人三浦直弥三浦直弥
小学4年生からサッカーを始め、中学、高校、大学、社会人とサッカーを楽しみつつ、大学生の頃からコーチングの道を歩み始め、指導の楽しさも知る。現在アラフィフのサッカーマンである。理論派でありながら熱い血潮を持つタイプ。サッカーの本質を突く指導がモットー。現在は、東京都のある街クラブでヘッドコーチを努めている。
好きな選手は故クライフ、そして自分の姓と同じ三浦カズ!好きな指導者は、森保監督の育ての親とも言えるオフト、そしてオシム。座右の銘は「諦めたらノーチャンス」。チーム運営や保護者対応などにも詳しく、近年はメルマガやブログへの寄稿活動も行っている。
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