指導者の腕が試されるチーム作りと采配

三浦直弥

三浦です。

12月1日に、JFA第44回全日本U-12サッカー選手権大会の組み合わせが行われました。

12グループ(各4チーム)ずつの組み合わせで、48チームが戦います。

12月26日から、1次リーグが始まります。

決勝は12月29日です。

楽しみですね。

今大会は、初出場が16チームもありました。

参加チームの3分の1が初出場ということです。

都道府県大会では、連覇するチームと初出場を狙うチームの戦いがあったことでしょう。

全国大会出場はどのチームにもチャンスがある。

そう思わせます。

やる気が出ますね。

  • 選手を育てながらも、勝敗にこだわっていく
  • 勝敗にこだわり過ぎず、選手を育てていく

指導者は、このジレンマの中で結果を出してきたと思います。

負けていい試合はないがこだわり過ぎてはいけない

サッカーは、試合をすることで上手くなり、強くなります。

しかし、ひとつひとつの試合の勝敗にこだわり過ぎると、弊害が生まれます。

それは、出場する選手が限定されていくということです。

試合をするのは選手ですが、8人のスタメンだけで戦うということに問題があります。

  • ベンチスタートを含めて層を厚くすること
  • 少年サッカーの特徴である自由な交代ができるというルールを活用してチーム力をあげること

つまり、より多くの選手を上達させることが出来るか。

そこに、指導者としての手腕が問われます。

試合数が増えるが工夫で乗り切る

より多くの選手に試合を経験させようとすると、週末ごとに対外試合を組むようになります。

大会や交流試合に積極的に参加し、試合を経験することになります。

が、大会となると勝敗にこだわるあまりに、メンバーが固定される可能性があります。

三浦は、参加する大会ごとに、選手と保護者に対して参加の目的を示しています。

勝っても負けても試合数が変わらないような大会の場合は、全員を均等に参加させるようにしています。

トーナメント戦のような大会では、やはり主力となる選手をスタメンとしてスタートせざるを得ません。

選手たちもお互いに競いあっているので、スタメンスタートはモチベーションアップになります。

しかし、トーナメント戦ごとにスタメンを変えるようにしています。

1ヶ月単位で、試合出場回数や時間がなるべく均等になるように工夫しています。

試合の流れで左右されない

よくある交代パターンでは、

  • 大差がついたらベンチの選手を出す
  • 0-0で戦っている時はメンバーを変えない

など、ベンチワークとしてのセオリーがあります。

試合の流れに左右されると、均等な出場時間がとれません。

0-0であろうが、失点していようが代える時は代えます。

そこが、指導者と選手の信頼にもなります。

時には、交代出場する選手が緊迫したゲームに臆してしまい、交代をためらう場面もあります。

そんな時でも「自信を持ってやれ!流れを変えてこい!」と送り出します。

指導者も選手も、ゲームに対して真剣に向き合うことが大事ですが、真剣になることは主力を出し続けることではありません。

全員で戦うということが大事です。

試合は主力だけ頑張って、練習も主力だけで別メニューという事をやっていると、一時的には強化されるかも知れません。

しかし、1年後や2年後に選手たちがどう育っているか。

想像しただけでもわかることでしょう。

全員出場という事に甘えない

全員出場が逆効果になる場合もあります。

まだ力不足・実力不足なのに、試合に出場してチームに迷惑をかけてしまう。

そんな理由でサッカーが嫌いになる。

また、練習をしなくても練習に来なくても試合に出られるという勘違いから、練習に対する情熱を失う。

そんな選手が試合に出ると、チーム内から不満の声があがります。

サッカーは練習でしか上達しないし、練習の成果を発揮する場が試合です。

練習=試合なので、練習で手を抜くことは試合でも手を抜くことに他なりません。

試合は全力を出す場なのに、練習で全力を出さないことはあり得ない。

なので、全員出場が基本ですが、その「全員」に値するかどうかを選手たちに問います。

チーム作りはスタメン作りではない

チームメイト・仲間が全員で戦うこと。

チームづくりは、スタメン作りではありません。

小学生のサッカーでは、スポーツマンシップの入り口とも言えるので、ここでどんな経験をするか。

選手たちの将来に向けて、とても大事なことです。

小学生時代のサッカーが苦い経験にならないよう心がけながら、選手たちの将来を見据えてサッカーを指導しています。

運動不足だからサッカークラブに入った。

けど、競技性が強すぎてついていけない。

そんな理由でサッカーをやめてしまう子供たちもいます。

チーム選びも大事

勝ち負けにこだわらず、選手たちの育成を目指す。

言うことは簡単ですが、現実はとてもむずかしいです。

試合をする以上は勝ちたいですよね。

チームによっては競技性が強く、体力をつけるためという目的では、ついていけないこともあるようです。

お子さんに合わせて、チームは変わってくれません。

チームを選ぶことも大事です。

サッカースクールという選択肢もあるでしょう。

試合を行うスクールであればよいのですが、多くのスクールは試合を行いません。

試合を経験することでしか、学べないこともあります。

保護者も少年サッカーを勉強する必要があります。

情報がたくさんありますが、サッカーをするのは子供たちなので迷ったら、「プレイヤーズファースト」で考えたいです。

この記事を書いた人三浦直弥三浦直弥
小学4年生からサッカーを始め、中学、高校、大学、社会人とサッカーを楽しみつつ、大学生の頃からコーチングの道を歩み始め、指導の楽しさも知る。現在アラフィフのサッカーマンである。理論派でありながら熱い血潮を持つタイプ。サッカーの本質を突く指導がモットー。現在は、東京都のある街クラブでヘッドコーチを努めている。
好きな選手は故クライフ、そして自分の姓と同じ三浦カズ!好きな指導者は、森保監督の育ての親とも言えるオフト、そしてオシム。座右の銘は「諦めたらノーチャンス」。チーム運営や保護者対応などにも詳しく、近年はメルマガやブログへの寄稿活動も行っている。
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