なぜ、17歳から始めてプロサッカー選手になれたのか?(6)
日本の考え
日本とブラジルは、
- 風景
- 言葉
- 生活
- 食
- 習慣
- 文化
など、あらゆる違いがありました。
当たり前と言っては当たり前ですが、19歳で初の海外経験、当時は今のように情報がほとんどない中でしたから、あらゆる面で圧倒されました。
サッカーのためにブラジルに行ったわけですが、そのサッカーで一番圧倒されて、プロサッカー選手を諦めて日本に帰ることばかり考えていました。
そんな中でも、なんとか踏ん張ってサッカーをやっていましたが、頭の中はというと、「日本でサッカーをやっていたときの考え方」でサッカーをしていたことです。
それでは、正しく学ぶことは出来ないですよね。
何かが違う
明らかなレベルの違いの中でも、
- ボールを持てるように
- ボールを取られないように
なるためを考えて、トレーニングしていました。
でも、何かが違うのです。
常に、感覚的にそう感じていました。
だからといって、その何かがさっぱりわからなかったですが…
何しろ技術の差がものすごくある中で、何を考え、どうすれば良いのかがわからないのですから。
それでも、ボールを持てるようにボールを取られないように、そのための技術を身につけたいと常に考えて、練習に取り組んでいました。
その考え方は日本の考え方
そんな自分には、自主練でしか補う方法・追い付く方法がないですから、自主練は欠かさずやりました。
紅白戦に五分しか出れないこともありましたから、体力は余ってましたからね(笑)
たとえ、紅白戦が五分しか出れなかったとしても、プロ予備軍の選手たちのプレーを見ることは大きな刺激でしたし、彼らのようになりたいといつも考えていました。
問題は、その後の自主練です。
せっかく良いものを見ても、僕の頭の中は日本で学んだサッカーだったのですから。
考え方が成長を変える
日本で学んだサッカーというのは、一番簡単なことを言うと、両足バタバタサッカーです。
両足を使えた方が良いとみんな言いますが、それはトップレベルで出来る技術を指しているのであり、両足でただボールを触っていることとは全く違います。
特に、世界のトッププロは、日本で言われているような両足ではなく、絶対的に「利き足のポイントの技術」があります。
しかし、当時の自分にはそんなことなど知るよしもなく、自主練でも下手な両足ボールタッチを繰り返すだけでした。
それでも多少は良くなる
そんな自主練を繰り返し、
- ボールを持てるように
- ボールを取られないように
と考えながらの日本の両足練習でも、良くはなりました。
そりゃ、練習すればそれなりには良くなります。
しかし、やればやるほど考えれば考えるほど、「何かが違う」が強くなりました。
結果に満足すると
当時は、日本人チームではフォワードをやることが多くて、いろんなレベルの試合がありましたが、まあまあ点を取ることが出来ました。
実は、それが悪いことです。
何が悪いかというと、点を取って満足するということです。
相手が自分より弱ければ、点は取りやすいです。
たとえ強い相手でも、相手が気を緩めたときに点を取ることも出来ます。
しかし、本当は自分の技術は自分自身が一番わかってなければならないし、わかっているはずなのです。
目の前のボールを、より正確にボールと自分が一体となっているかは、自分自身が正しく把握していなければなりません。
案の定、いくら点を取っても、ボールを持てる・ボールを取られない技術ではありませんでした。
気づき
- 怠慢
- 満足
- 自信過剰
- 慢心
- 傲慢
からは学びはなく、気づきもありません。
自分の中では、決して満足したつもりはなくても、留学一年目は日本のサッカーの考えで、ブラジルでサッカー生活を過ごしていました。
しかし、いつも「ボールを持てる、ボールを取られない技術」を身につけられるように考えていましたから、結果よりもプロセスに対して常にモヤモヤがありました。
この考える習慣が、そのときに気づくことが出来なくても、あるとき大きなヒントを気づかせてくれるのです。
そのヒントとは、次回に続きます。
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1970年生まれ 石川県出身。ブラジル選手権一部リーグに所属するチーム。日本国籍者としてプロ契約した2人目のサッカー選手。ブラジル選手権一部リーグのポルトゲーザなどで活躍。当時、ゼ・ロベルト(2006 W杯ブラジル代表)とともにプレーをした経験もある。
FIFA(国際サッカー連盟)公認コーチライセンス、
CBF(ブラジルサッカー協会)公認コーチライセンスを保有
圧倒的なテクニックと確立された指導法には定評がある。現在、明光サッカースクール、東京スポーツレクリエーション専門学校などで、子どもたちにサッカーを指導している。
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