ひとりのエースに頼ったチームは、エース不在でチームが成り立たなくなる。
たった今、ブラジルがドイツに7-1で敗れました。
両方とも好きなチームで、対戦を楽しみにしていました。
ブラジルはネイマールを怪我で欠き、守備の要のチアゴシウバも累積で出場出来ませんでした。
攻撃の要と守備の要をどう埋めるのか、新たなスターが登場して欲しい。
ホスト国として、サッカー王国として層の厚さを見せて欲しいという気持ちがありました。
一方、ドイツはバイエルンの選手が主体となって個人技のある選手が組織的なプレーを見せていました。
まるで、前回大会優勝のスペインがバルセロナ主体だったようにヨーロッパのチームは強いクラブの選手を主体に出来ます。
南米とヨーロッパの勢力はお互いに刺激しあいながら保って欲しいと願っています。
ドイツの勝因は、ブラジルの戦力ダウンという理由だけでなくどんな相手にもドイツサッカーを展開するという気持ちがキックオフ直後に見られました。
ドイツは、ボールを持たない選手が右に左にどんどん走りパスコースを作りました。
パスコースを作ると、ブラジルデフェンスはマークにつかなければならないので、どうしても散らばってしまいます。
ドイツの1点目はコーナーキックからの得点でしたが、2点目は完全に崩しからの得点でしたね。
ボールを持たない選手が走ること、正確なパス、回りを観ること落ち着いてシュートを打つこと。
これを繰り返した結果、ドイツ選手もびっくりする大量得点になった。
そんな印象です。
一方のブラジルは、ボールを持っているドイツ選手に対するプレスがはっきりせず、フリーで走る選手も視野に入っていないように見えました。
あのブラジルでさえ、2失点を喫するとボールウォッチャーになってしまうのかと思いました。
ドイツ選手のインタビューを聞くと、自分たちも信じられないという言葉が帰って来ましたが、ピッチに入った22人の誰一人としてこの結果は予想出来なかったでしょう。
しかし、1点目が入る前のプレーを見ている状態では、ドイツの動きの良さから、ドイツ先制という予想はありました。
私は指導者として、小・中学生の試合でもこのようなゲームを何度か見ています。
それは、短時間の失点は起こるもの、立ち直るためにはベンチワークでなく、選手たちの気持ちが必要なことです。
3点目以上になると足がとまり、デフェンス陣も守備で足がでなくなります。
中盤も追走やプレスの気持ちが無くなり、フォワードも中盤に戻って来てしまいます。
前半なら、ハーフタイムを待つだけ、引いたデフェンスにはミドルシュートが飛んでくるので、ゴールキーパーまで失意にならないよう注意します。
小・中学生は育成年代なので、0-0だと思って1点ずつ返そう最後の1秒までボールを追って走ろうという「メンタル」の部分をコーチングします。
簡単な指示で、全員が理解出来る内容にするよう心がけています。
育成年代では、負け方も学習のひとつなので、気持ちの面で負けて試合に集中出来ないようではいけません。
スコアで負けていても、ひとつひとつのプレーを判断と意図と意志を持ってたくましくプレーすること。ここをおろそかにすると、よい負け方が出来ません。
負け試合から学ぶことは多いものです。
指導者もそうですが、選手たちにも「なぜ」を考えるよい機会だからです。
相手チームと比べて足りないものがあったから負けた。それは何か。
それを自分たちで考えること。
もうひとつ、小・中学生のサッカーで私が感じていることがあります。
「ひとりのエースに頼ったチームは、エース不在でチームが成り立たなくなる。」というものです。
特に、トップの選手にエースがいて、その選手にボールを集めるような試合で勝利を収めるというチームの場合、怪我や風邪などでエース不在となった時に、どういうサッカーをすればよいのか迷うものです。
試合に入る前からわかっていれば、エースの代役を立てたり、攻撃方法を考える時間もありますが、試合中のトラブルでエース不在になると立て直しが難しいです。
トップのエースの個人技や身体能力を活かそうとして、デフェンスからトップにロングボールを入れるようなゲームスタイルだと、いざエースが不在となった時に、ショートパスをつなごうというサッカーが出来ないものです。
もちろん、エースがいてもいなくても、ロングボールを使ったサッカーとショートパスを組み立てたサッカーをトレーニングしているチームの場合は問題ないでしょう。
小・中学生の育成年代のサッカーは、決してワールドカップではなく、絶対に負けられない試合などない、勝ち負けを通して育っていくもの。
負けても内容がいいゲーム、勝っても内容がよくないゲームもあるものです。
ドイツはブラジルに勝利しました。内容も素晴らしかったです。
ドイツの7点目のシュートに拍手をしていたブラジルサポーターを見てブラジルの4年後が楽しみになりました。
数字的にも内容的にも歴史的な試合というコメントが続くことでしょう。
しかし、サッカー王国がここから立ち上がる様子を見守りたいものです。
そして、ドイツのサッカーも一朝一夕でここまで来たのではないという事。
育成という部分にしっかり時間とお金をかけて来たからこそこの結果を手にした。
ワールドカップでも、キーワードは育成です。
育てなければよいサッカー選手は生まれてこない、その過程にはよい指導者がたくさん必要である。
指導者講習会に行くとこのような事が話題になります。
お父さんコーチであっても勉強と熱意でよいコーチになることが出来ます。
頑張りましょう!
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