ダブルボックスで実践的なシュート練習

三浦直弥 講師

三浦です。

4月後半から始まるリーグ戦に備えて、3月は新チームのレベルアップに取り組んでいます。

モチベーションを高めるためにシュート練習に力を入れていますが、基本的な練習をある程度行ったので、実践的な練習として「ダブルボックス」というトレーニング方法に取り組んでみました。

ダブルボックスという練習方法

サッカーではペナルティエリアのことを「ボックス」と表現することもあります。
ダブルボックスとはペナルティエリア2つをくっつけたエリアでゲームをすることを指しています。

少年サッカーのペナルティエリアのラインは、ゴールラインからわずか12mです。
ダブルボックスはこの倍ですので、24m離れたところにゴールラインとゴールを設置することになります。

三浦のチームでは、練習の度にゴールを運んで設置していますが、ダブルボックスを行う時は片方のゴールを移動してコートを作ります。

ペナルティエリア2つ分のコートに入る選手は、GKが2人とフィールドが4人ずつです。
フィールドの選手は3人対3人でもよいですが、忙しくなります。
5人対5人ですと、スペースが狭くなります。

レベルに合わせて人数を調整していますが、シュート練習が目的なので、攻撃が有利となるように片方のチームを増やしたり、減らしたりして調整することもあります。

なお、この練習は5年生以上を対象にしていますが、低学年でも面白いトレーニング方法です。

ゴールを目指す

ダブルボックスの練習では、攻撃と守備に対して明確にテーマを与えます。
攻撃の目的はパスでもポゼッションでもなく、シュートです。
ゴールに向かうことが攻撃の目的です。

奥行きがわずか24mしかないので、コート内のどこにいても相手ゴールに向かってシュートを打てるはずです。

ボールを持った瞬間にシュートを考えること、ゴールから遠い位置でボールを持った場合でもパスを選択しないで、シュートが打てるかどうかを判断します。

自分よりゴールに近く、シュートを打てる位置にいる味方へのパスはOKですが、自分の前にスペースがあるにもかかわらずパスを選択するプレーは好ましくありません。

スペースに積極的にボールを持ち込んでシュートを打つプレーを求めます。

ボールを持ってからシュートまで時間をかけないこと、そのためにはタッチ数にもこだわります。
基本は2タッチ以内でプレーを進めます。

試合中を思い出してプレー

選手たちが通常のミニゲームのようにボール回しをするようでしたら、実際の試合を思い出してもらいます。

「今、君たちは試合中のペナルティエリア内にいるんだ!試合を思い出そう!」

コーチは選手たちにこのような緊迫感を与えることが仕事です。

緊迫感は守備側にも必要です。
相手がボールを持ったらシュートを打つかも知れない、シュートを打ったらゴールに入るかも知れない、だからシュートを打たせないという緊迫感です。

相手チームがボールを持ったら自由にさせないこと、シュートコースに入ることやシュートコースに足を出すことなど、実際の試合を思い出して失点しないよう意識を高めます。

決定力を高める

ダブルボックスの練習目的はシュートを打つことですが、コーチが練習目的を強調していくと、選手たちはどんな場面でもシュートを打てばいいという感覚を持ってしまいます。

シュートを打つことが目的ですが、シュートを打つということはゴールを決めることです。
GKの位置を見て確実にコースを狙っているか、判断することが大事です。

ゴールに向かってシュートを蹴っているだけという状況を放置してしまうと、選手たちはそれでいいと思ってしまいます。
そのような状況を見たら、いったん練習を止めることが必要です。

シュートを打つことも大事ですが、シュートを決めるためにはどうすればいいか、これを考えて練習をしないと試合のための練習にならないので、選手たちに考えさせます。

考えたあとに練習を再開しますが、もしここでシュートを決めようと慎重になりすぎて、ボールを持ちすぎたり、不要なパスを出すようであれば、もう少し思い切ってシュートを打つようなコーチングをします。

選手たちをよく観察して、積極的なシュートを打っているかどうかを判断基準にして指導していきます。

攻撃も守備もGKも練習になる

ダブルボックスの練習は、ゴール前の攻撃とゴール前の守備を一度に練習できます。
シュートを打つことが目標なのでGKの練習にもなります。

中盤の組み立て以外の練習効果が期待できます。
実際の試合では、ゴール前の攻防には中盤の選手も関わってくるので、チーム全員にとって有益な練習になります。

緊迫感を出すことと、シュートが決まるようなオーガナイズによってダブルボックスのトレーニング効果がアップすることでしょう。

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