少年サッカーにおけるGK選考の事例

三浦直弥 講師

三浦です。

少年サッカーの試合で、ポジションを決めるときに気をつかうポジションがあります。

それは、ゴールキーパー(以下、GK)です。

GK がいないと試合が出来ません。
GK はペナルティーエリア内のボールを手で扱うことが出来ます。

ペナルティキックではひとりでゴールを守らなければなりませんし、FK やCK の場面でも守備の中心になります。

GK というポジションを全員で経験する

三浦のチームでは、低学年のうちに全員にGK を経験させます。
理由は適性を判断することもありますが、何よりもGK というポジションを経験することです。

チーム全員がGK のポジションを経験することで、GK がどんなポジションなのか、ある程度理解ができます。

そして、味方がGK をやったときに、GK の立場になったプレーをしようという意識が生まれます。

さらに、チームが失点した時に、失点の理由がフィールドプレーヤーにあるのか、GK のミスなのか冷静に客観的に考えることができます。

GK を経験していないと、たとえそれがバックの選手のミスであっても、GK が一番後ろにいるのだからセービングが出来たのではないか、という自分主義の考え方になってしまいます。

自然発生的に決まっていくGK

小学校低学年のうちに全員がGK を経験すると、そのうち何人かはGK というポジションに興味を持つ選手が出てきます。

「キーパー面白い!」と言って、キーパーグローブを親に買ってもらい、練習に持ってくる選手が現れます。

練習前には、GK に興味がある子がゴール前に立ち、みんなのシュートを受ける光景が見られます。

GK にチャレンジする数人から、試合でGK をやってみたいという選手が出てきます。
遊びの中で、仲間からGK として認められているので、コーチに対して自分がGK をやりたいと申し出るようになります。

実際に試合に出てみると、成功したりミスをしたりするのですが、いろいろ経験しながらチームでのGK の地位を築いていきます。

まあ、これが理想なのですが、毎年このような経緯をたどるとは限りません。

GK のなり手がなかなか現れない

三浦の指導経験の中で、GK のなり手がいなくて困ったことがあります。
ある年のある学年を担当した時のことですが、小学3年生までは、上記のように自然発生的にGK が決まっていました。

しかし、小学4年生の春に、GK の選手の家族が転勤してしまったのです。
さて、代わりのGK を誰にしようか。
サブのGK がいましたが、正GK がいるからサブになったけど、自分が正GK になるのは気が引けると言いだして、振り出しにもどったわけです。

選手たちが描くGK像

選手たちは話し合いで決めると言い出したので様子をみました。
話し合いに参加して話の内容を聞いていると、GK にふさわしい選手像がいくつか浮かんできました。

・キック力があること
・手で遠くまでボールを投げることができること
・ジャンプ力があること
・気持ちが強いこと

子供たちのGK の基準はとてもハードルが高いもので、その基準に合致する選手は出てこなかったようです。
どうしたらいいかとコーチに意見を求められたので、三浦は次のように答えました。

GK はフィールドプレーヤーのひとり

小学生の8人制サッカーでは、GK もフィールドプレーヤーのひとりとしてプレーをすることが大事。
ゴールの前に立っているだけのGK でなく、守る時はバックの選手と一緒に守り、攻撃の時はバックの選手と一緒に攻め上がる。

GK はフィールドプレーヤーのひとりなので、ボールを持ったらパスも出す。
だから、特別にキック力がある必要はないし、ボールを投げる能力も普通でいい。

正確にトラップすることや、キックは必要。
それ意外のプレーはGK を経験していくうちに身についていくよ。

試合に出るためにはGK を決めないといけない。
誰かがGK をやらなければならないが、いやいややるのだけは良くない。
チームのためにGK をやるという気持ちは大事だけど、少しでもGK をやってみたいという気持ちがないならやらない方がいいよ。

全員でローテーションでやる考えもあるけど、GK としての経験が少なくなってしまう。
2人GK を決めよう。
正・副はその後に決めよう。

このような話しをしました。

GK を見学しにいこう

三浦は選手たちに、GK はフィールドプレーヤーのひとりだから、一番後ろにいるフィールドプレーヤーとしてプレーして欲しいと言いました。
しかし、選手たちにはイメージできていないでしょう。

上級生たちのプレーもそのレベルに達していません。

地域のチームで、足もとの技術に優れたGK がいるチームがあるので、具体的にどんなプレーなのか見学に行きました。

身長は大きくありませんが、声がよく出るGK でした。
3バックで試合をしていましたが、GK を含めた4バックのような形になっていました。

攻撃の場面で、チームが前がかりになると、GK はハーフウェイラインまで出ていきました。
裏を狙われたらどうしようとハラハラさせる場面です。

GKの裏にボールが出そうになると、予測して下がるので、よく試合の流れを見ているなと関心しました。

しかし、裏に出される場面は何度かあり、バックもGK も一目散にゴール前に戻っていました。

勇気を出してGK にチャレンジしよう

見学したチームでは、たしかにGK もフィールドプレーヤーのひとりとしてプレーしています。
危ない場面もありますが、それはやむを得ないことだということもわかりました。

このチームと同じプレーをしようという意味はなかったのですが、GK がフィールドプレーヤーのひとりとしてプレーすることについてイメージを掴めたようです。

GKだけがフィールドプレーヤーの意識を持つのではなく、他の7人の意識も大事ということがわかりました。

この学年のこのチームのおかげで、GK に対するイメージを変えることができました。
指導者も環境や選手を通して成長していくことを実感しました。

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