小学校低学年の団子サッカーについて考える

三浦直弥 講師

三浦です。

団子サッカーという言葉を聞いたことがあると思います。
サッカーを始めたばかりの子供たちの試合の様子を表したものです。

ボールを中心に団子のように群がってしまい、われ先にボールに触れようとします。
ボールに触って前方にキックをしてもボールが遠くへ飛ばないので、集団はばらけずに、中心部が移動するに過ぎないという状況です。

三浦のチームの1年生たちはサッカーを始めて半年以上経ちました。
いろいろなトレーニングで多くのことを学んできました。

しかし、いざ試合をするとボールにワッと集まってしまうので、これから先どうしたものかと考えています。

団子にならない子供たち

最近は、未就学児がサッカーを体験しているせいか、団子にならないでサッカーをする子供も増えてきました。

さらに、少年サッカー人口が少なくなって来ているせいか、単一学年どうしの試合も少なくなり、初心者どうしの対戦も少なくなりました。

試合をすると1年生と2年生の混合、3年生以下混合のような構成になります。

上級生が交じると団子になりにくいです。
ある程度ボールが蹴られること、ボールを止める技術もあるので、相手ゴールに近い位置にパスを出す、相手ゴールに近い位置でパスを受けるというポジションどりが理解出来ています。

少年サッカーでは単一学年での大会があるため、ある程度、単一学年だけでそこそこの試合ができるようにする必要があるので、団子サッカーについて少し真剣になっています。

※単一学年の大会とは、U7、8、9(1年生、2年生、3年生)それぞれの学年で構成される規則のローカル大会のことです。

団子サッカーにメリットがある?

小学校の低学年にありがちな団子サッカー。
これを放置するべきか、指導で直していくべきか。三浦は15年以上前に議論したことがあります。

団子サッカーを繰り返す前に、選手にシステムを教えることや、ボールを持っている仲間から離れることを教えることで、団子サッカーにならず、小学生の年代の貴重な期間を無駄にする必要はない、と考えていました。

しかし一方で、団子サッカーにもメリットがあるという考え方を持った指導者にも出会いました。

ひとつは、団子サッカーは効率が悪いということに気づくきっかけになるからというものです。
団子サッカーを知らずに団子サッカーを非効率だと感じることはできないはず、団子サッカーのどこがどのように無駄が多いのかを選手たちが経験することが大事、というものです。

もうひとつは、小学3年生以下の時期に団子サッカーを経験することで、選手同士が混戦の中で闘志を燃やしてボールを奪い合うということを経験できるのだ、というものです。

実は、サッカー少年の全員が接触プレーが平気というわけでありません。
中には接触プレーを苦手とする選手がいます。苦手な選手は混戦の中に入ることが出来ません。

低学年の時点で他の選手との接触が苦手という選手は、その後、4年生、5年生と、接触プレーを避けるような傾向があります。
接触することそのものが苦手というわけではなく、すぐそばに人がいると上手くプレー出来ないという感覚のようです。

ボールリフティングなどひとりで行うトレーニングはとても上手なのに、試合になると消極的になり、トラップミスを連発してしまう。
心理的なものといえるでしょう。

接触プレーが苦手な選手に積極的にサッカーを行うよう仕向ける方法はいくつかありますが、団子サッカーを通して改善できるのではないか、という理論です。

団子サッカーの打開方法

皆さんのチームに接触プレーを苦手とする選手がいないのであれば、団子サッカーを長く経験せず、なるべく早く団子サッカーを打開する方がよいでしょう。

しかし、低学年のうちはキック力がなく、どうしてもパスが短くなるので、パスであってもパスにならないものです。

キック力がつくまで待つことはせずに、短いパスしか出せないなら、大きなドリブルをした方が団子サッカーを打開できます。

相手に奪われないところに蹴ることができれば半分は成功したようなものですが、蹴り出す方向がポイントです。

相手ゴール方向に蹴ると、団子サッカーでも必ず待ち伏せをして守る選手がいるので、その選手に奪われてしまいます。

団子がゴール前の中心部で出来ているなら、斜め前方向に出すことです。

斜め前方向に大きなドリブルをします。タッチ数は1,2回。
自分で自分にパスをする要領です。

きっとスペースが空いているはずです。そこに出したら自分で追いつきます。
追いついた時に、団子の群れがサイドに寄せてくるはずです。

そこから先は選手のアイディアです。
最初の団子よりは「粗」の状態になっているはずなので、再度ドリブルするか、パスを出すか、シュートを狙うか。

 

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