高学年チームにパスの基本を指導する時のポイント

三浦直弥 講師

三浦です。

先週末、小学5年生と6年生にパスに絞って指導しました。

6年生には中学生のサッカーでも通用するようなロングパスを指導しました。
5年生には「パスとは何か?」という基本的な指導をしました。

指導した内容を選手たちがサッカーノートに記録しやすいようにパスの種別毎に分解して指導しました。

パスの種類にはどんなものがあるか

パスの基本を指導する際に、パスの種類について選手たちと相互に確認しました。次のようなものです。

ショートパス

近くの味方へのパスです。ほとんどの場合、グラウンダー(ゴロ)のパスになります。
相手のプレッシャーがない場所でのパス、相手のプレッシャーがある場所でのパスがあります。
パスの角度は横方向、縦方向、様々な角度で用いられます。
ショートパスは、距離は短いですが、ボールを動かすことで相手選手が反応します。

ショートパスを繋いでいくことで相手をかわすことができますが、パスを成功させるためには、お互いの距離感が大事です。
スペースを上手く使いながらパスを繋ぎます。

しかし、ショートパスを連続させていくと、相手もパスコースを予測しやすくなるのでカットされやすくなります。
三浦のチームでは、2本から3本のショートパスのあとには長いパスを使って大きなスペースに展開するよう指導しています。

ロングパス

相手ゴール方向へ向かって縦に入れる長いパスです。
ゴールに向かって出すパスなので攻撃の決め手となります。

相手チームエンドにできた大きなスペースを狙ってパスを出すことでシュートチャンスを作ることができます。
しかし、ロングパスには短所があります。

それは、相手チームはパスが蹴られた瞬間にボールの軌道を読むことができるので、滞空時間が長いほどパスカットのための移動時間が確保しやすいということです。
つまり、カットされやすいのがロングパスであるということです。

成功率は高くないけれど、選手たちには何度もチャレンジして欲しいパスです。

スルーパス

パスの優先順位は相手ディフェンスラインの裏にボールを出すことです。
ディフェンスラインの裏にパスを出し、味方が走り込んでパスを受け、シュートに繋げるという形をつくるためのパスです。

少年サッカーでも有効なプレーですが、注意点があります。

それは、コートサイズの問題です。
成人のサッカーコートの場合はコートの縦方向が長く、ハーフウェイラインからペナルティエリアまでの距離が十分ありますが、少年用コートの場合は短いです。34mしかありません。
ゴールラインからペナルティエリアまでの距離が12mですので、22mの間でパスを出し、残る12mの間でパスを受けることになります。

残る12mにはGKがいますので、ゴール正面でのスルーパス成功はとても難しいものです。
ハーフウェイラインの手前からパスを出せる状況であれば、成功の確率はグッと高くなります。カウンター攻撃の形ですね。

もうひとつの注意点は、オフサイドになりやすいことです。
パスの受け手ができるだけゴールに近い位置でスルーパスを受けようとすると、相手チームのディフェンスラインの裏(オフサイド)でパスを受ける状況になります。

パスの出し手が気づけばオフサイドにならないのですが、パスの出し手も相手のプレッシャーを受けながら一瞬の判断でパスを出すので、味方の位置を確認することが難しい場合が多いです。

ロングパス同様に成功率が高くありませんが、チャレンジして欲しいパスです。

ワンタッチパス

1回のタッチでパス、シュートなどの動作を行なうプレーです。ダイレクトパスとも言います。
コントロールに時間をかけないことで、相手に奪われにくくする方法です。

しかし、ワンタッチでのパスは難度が高いです。
ミスもつきものですが、成功率をあげる工夫をすることで大きな武器になります。

試合では、壁パス(ワンツーパス)の壁役の選手がよく用います。短い距離のワンタッチパスは有効です。

グラウンダー&浮き球のパス

グラウンダーパスは通用「ゴロ」です。
地面を転がるパスなので、受け手がコントロールしやすいのが特徴です。
バウンドボールよりも確実にコントロールしやすいので次のプレーに繋がりやすいです。

ショートパスやロングパスという分け方は「距離」による分け方ですが、グラウンダーパスや浮き球のパスは、ボールの「軌道」「球種」を表すものです。

浮き球のパスは、文字通り地面から浮いた状態のパスです。
放物線を描く軌道で出すパスもあれば、低く直線的に出すパスもあります。

放物線を描くふわっとしたボールは、味方が落下点を読みやすくヘディングでの対応がしやすいです。
しかし、対空時間が長いので相手チームも対応がしやすく、空中での競り合いが生まれやすいです。

一方、ライナー性のボールはゴール前のクロスなどに使われますが、目的に向かって早く届く長所があります。しかし反面、コントロールが難しいです。

ライナー性のボールをワンタッチでシュートできるようチャレンジして欲しいですね。

パスが成功するための条件

パスが成功するためには、味方が一瞬でもフリーになることが条件です。

相手選手と接触した状態では、ワンタッチによるパスやシュートは可能ですが、コントロールされたボールにはならないでしょう。

パスの受け手は、フェイクなどの動きでフリーになることが必要ですが、パスの出し手はそのタイミングでパスを出す必要があります。

パスの出し手も受け手も動きながらプレーすることが大事で、パスを出したら受け手として動くことを習慣にしたいです。

パスの成功率を上げるためには、パスの出し手と受け手のコミュニケーションが大事です。
コミニュケーションの方法は、動きだしやアイコンタクトそして声を使うことです。

パスを使う理由

ボールを動かすことにより、ボールを奪おうとする相手を動かすことができます。

相手は動くことにより陣形が崩れるため、スペースができやすくなります。
そのスペースにボールと人が入り込むことにより、相手ゴールに近づくことができます。
ここをしっかり理解することが大事です。

ボールをスペースからスペースに運ぶことで相手ゴールに近づくことが目的ですが、スペースは自然にできるものではありません。
相手をずらすことや、ボールを受ける選手が動くことでスペースが生まれます。

パスの質

サッカーにおいてパスの質とは、味方がコントロールできるパスであること、コントロールとは1タッチで次のパスやシュートが打てることを指します。

パスの質には、強弱やボールの回転、タイミングなどいろいろな要素がありますが、小学生年代ではどうしてもパスが強くなってしまう傾向があります。

味方がコントロールしやすいボールを蹴るにはどうすればよいか。
考えてパスを出せるようになることが大事です。

パスの優先順位

パスには優先順位があります。
まず、パスの受け手にマークがついていないなら、相手ゴールに近い方の足やスペースに向かってパスを出します。

パスの受け手にマークがついている場合は、マークから遠い足やスペースに向けてパスを出します。

つまり、優先順位はゴールに近い方向です。
そうすることで相手に危機感を与えることができて、ゴール前に守備を集めることができます。

相手ゴールに近い方向のパスは奪われる可能性も高くなりますが、そのリスクを超えるスキルを身につけることが練習です。
相手チームが嫌がるプレーがよい攻撃につながります。

パスが上手い選手の特徴

パスが上手い選手は、パスを出すテンポを遅らせて相手を引きつけ、パスを受けた味方をフリーにすることができます。視野が広く、空間把握能力が高いという特徴があります。
また、ボールコントロールそのものが上手いため、常に足元にボールを置けるので正確なパスが出せます。

パスを受けるのが上手い選手は、フリーになる動きが上手い選手です。
ただし、ボールの位置、相手の位置を見てどこで受けることが最も効果的な攻撃ができるか、という事を考えて動くことが必要です。

パスを出すのが上手い選手は受け方も上手いです。

練習試合などで他チームにお手本となる選手がいたらぜひ観察してみましょう。
何かを感じることができれば上達は早いです。

まとめ

選手たちには、パスの成功とはキックの技術だけでなく、タイミングが大事であること意識させました。
タイミングとは視野の確保と判断が土台であること、そしてパスの出し手と受け手のコミュニケーションが欠かせないことも意識させました。

ひとつひとつステップアップしてトレーニングを続けて行きたいと考えています。

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