小学6年生の発育発達とプレーの質について

三浦直弥 講師

三浦です。

第47回全日本U-12サッカー選手権大会の都道府県代表が出揃ったようです。
各都道府県大会では、今年も多くのドラマが生まれたことでしょう。

都道府県代表チームには本大会で100%の力を発揮できるよう頑張って欲しいです。
大会はテレビやネットで放送されますので、少年サッカーファンはよく見て観察しましょう。

6年生の発育発達と全日本大会

10年以上前ですが、全国大会は夏に行なわれていました。
そして都道府県大会予選は春に行なわれていました。
6年生になったばかりの選手たちが予選に挑んでいました。

小学6年生の大きな目標は春先の全日本予選でしたので、予選で敗退すると次の目標は地域レベルの大会で活躍することになります。
正直、全日本がもう少し遅ければいいのにな、と思っていました。

小学6年生の活動を見て思うことは、春先はまだまだ成長の過渡期であり、夏から秋にかけてグッと身長が伸びていきます。

身長の伸びに従い、パワーもついてきてダイナミックなプレーを見ることが出来ます。

全日本大会予選が秋に行われるということは、小学生にとって充分な準備期間を確保できることがメリットと言えます。

発育発達とパワー向上

小学6年生の中には、半年間で身長が伸び、合わせて体重も増える選手がいます。
体重が増えるということは筋肉量が増えるということで、パワーもついてきます。

パワーがつくとボールが飛ぶようになります。
いままでロングボールを蹴るには全身を使って踏み込んで蹴っていましたが、大きなフォームでなくても飛ぶようになります。

ボールが飛ぶようになると、ロングパスを出したくなります。
ロングパスを出すために、中盤から後ろのポジションをやりたくなる選手もいます。

フォワードの選手でもミドルシュートを打ちたくなります。
発育発達によってプレーの質が変わるということを、コーチや保護者は知っておいた方がいいでしょう。

発育発達とプレーの質の変化

ボールが飛ぶようになるとロングパスを出したくなるので、プレーの選択が偏ってくる傾向があります。

中盤の深い位置から前線にボールをつなぐ場面でも、近くにいるフリーの味方へのパスではなく、フォワードに長いパスを出そうとします。

この判断がよい結果につながることもありますが、同じプレーを続けていくと相手チームに読まれてしまいます。

ロングボールをヘディング等で弾き返され、試合が不利になる場合もあります。
ボールが飛ぶようになると浮き球を蹴りがちになるので、プレーが雑になることもあります。

このような兆候は、視野の確保やよい判断を身につける時期には早めに気づき、修正しなければなりません。

キックスキルをトレーニングしてボールが飛ぶようになった訳ではなく、発育発達による筋力パワーでボールが飛ぶようになったので、キックスキルもパワーに見合ったものに修正する必要があります。

試合の進め方への影響

サッカーの攻撃方法のひとつに「ダイレクトプレー」というものがあります。
ダイレクトパスやワンタッチパスなど、1回のタッチでプレーする意味のダイレクトではありません。

ここでのダイレクトとは、試合中にボールを持った時に直接フォワードや前線にいる選手にパスを出し、シュートを打たせるというものです。

ボールが飛ぶようになると、今までは飛距離が出ないと諦めていたパスが出せるようになるので、プレーの選択肢が増えることになります。

しかし、ダイレクトプレーを選んでばかりだとプレーが大味になります。
ダイレクトプレーは成功率が低く、ボールを失う場面も多くなるので、ピンチにつながることも多くなります。

ショートパス、グラウンダーパスで確実に保持するという選択肢に意識をむけることが必要です。

ボールが飛ぶようになるのはフィールドプレーヤーだけでなくゴールキーパーも同様です。

戦況によっては、手によるスローでバックの選手の足元につけてやることが自然な場面でも、味方を前線に全員押し上げて長いボールを蹴ろうとすることがあります。

シュートにつながればよいですが、簡単に弾き返され、味方が急いで自陣に戻るという場面を見て反省できるかどうか、ゴールキーパーも判断力を磨かなくてはなりません。

このように、発育発達は望ましいことですが、プレーや試合の質によい影響をもたらすとは限らないので、指導者や保護者はよく観察することが大事です。

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