【少年サッカー】ボールが来ないパスが来ないという悩みの改善方法

スキルアップ パス 三浦直弥 講師

三浦です。

小学5年生の選手から「ボールが来ない、パスが来ない」という相談を受けました。

どうしたらボールに触れるようになるのか、パスがもらえるのかわからないという悩みでした。

その選手は右サイドハーフや右サイドバックをやることが多いのですが、試合を見ていて、ポジショニングを勉強する必要があるなと思っていました。

ボールなしの動きの基本

試合でのポジショニングも大事ですが、それよりももっと基本的なボールなしの動きを練習する必要があると判断し、トレーニングで改善することにしました。

10mぐらいのグリッドを作り、2人1組になって、2対2をやってみました。

ボールがもらえない悩みを持つ選手の特徴は、パスを出したあとすぐにスペースに動くタイミングが遅く、味方がボールを持った時に味方の前方でもらおうとする意識が強すぎると感じました。

パスを出したあとの動きは、ボールなしの動きの基本です。

その選手はスペースに動くというイメージを持っているので、パスを出したその足が1歩目になる意識でスタートを切ることにより改善できました。

しかし、味方の前方でパスをもらおうとすることで相手選手の影になってしまい、動き直してフリーになろうとするのですが、味方からのパスとのタイミングが合いません。

2対2の練習ではプレーが忙しくなりすぎるので、3対3や3対3+フリーマンという練習方法も試してみました。

ディフェンダーの影にならないことを意識する

ボールポゼッションのトレーニングをしながら、時々プレーを止めて確認しました。

ボールを持っている選手に聞きました。

「どこに動いて貰えればパスを出しやすい?」

答えは、

「相手から離れたところがいいけど、もっと広がってくれれば相手に引っかからずにパスが出せる」

というものでした。

ボールが貰えない悩みの選手は、ボールを受ける動きの範囲が狭いのと、横方向や後ろでもらうという意識が足りませんでした。

「とにかく影にならないところにいたらパスが出せる」

そういうチームメイトの声を理解しようとしていました。

パスの出し手になってみる

ボールポゼッションのトレーニング中に、時々止めてコーチングしていましたが、出し手と受け手の立場を変えてみました。

ストップをかけた後、ボールを貰えない悩みの選手とパスの出し手の位置を交換しました。

「そこからパスを出してごらん」

というとボールを貰えない選手は答えました。

「相手に当たりそうで出せない」

相手が足を出せばカットされるコースにイチかバチかでパスを出す選手ではないことがわかりました。

「どこまで移動して欲しい?」

選手を移動させて、パスを出しやすい位置に立たせました。

「そこならパスが出しやすいし、たぶん通ると思う」

と答えました。

「じゃ、位置を交換してみよう」

2人の位置を交換し、お互いの場所から相手を見てみました。

「こんなに広がらなければならないとは知らなかった」

自分が思うパスコースと仲間が思うパスコースには大きな違いがあることを発見したようです。

練習中にお互いの位置をチェンジして、お互いがどう見えているかを確認することは意外な発見があり、効果があります。

視野の感覚は選手によって違う

少年サッカーの指導では、サッカーに必要な「視野の確保」の基本を身に付けてもらおうと「顔を上げること」「ボールをもらう前に回りを見ること」を徹底しています。

しかし、見えるもの、見えたものからの判断は選手によって違うということを知らなければなりません。

視野に映る景色は一緒でも、判断する内容は違ってくるということです。

今回、ボールが来ない、パスが来ないという悩みを持った選手も、自分ではもらえる場所に動いているつもりだったのですが、もう1m、2m広がる意識が足りなかったのです。

広がって横や後ろで受けることは、攻撃方向から遠ざかるという意識が強すぎたことも原因のようです。

パスにに対する意識を変えよう

パスは出し手と受け手のコミュニケーションが成り立って成功します。タイミング、角度、パススピードなどがバッチリ合った時に成功します。

今回のトレーニングを通して、パスの出し手が上手ければパスは成功する、と考えている選手がまだまだ多いと感じました。

ボールをもらう選手がボールを持っている選手からパスを引き出す、という考えを指導する必要があると反省しました。

もちろんキックの精度など基本的なスキルはパスの成功に大きく関わってきますが、キックの精度が上がってからパスの練習をすればいいという訳ではありません。

キックの精度が低くても、パスをもらう動きのトレーニングは必要です。
ボールなしの動きが上手になることで、パスの精度が低くてもパスが成功することもあります。

サッカーのトレーニングとは、選手たちとの対話が必要だとつくづく感じました。

今後の練習に活かしていきたいと思います。

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