【なでしこジャパンから学ぶ】池田監督の指導手腕から学ぶ

三浦直弥 講師

三浦です。

なでしこジャパンは残念ながらベスト4には進めませんでしたが、世界から注目を集めたなでしこジャパンを率いた池田太監督にも評価が集まっています。

三浦は同じ指導者として池田監督の手腕について解説していきます。

選手の長所を見極め、最大値を引き出した功績

なでしこジャパンの活躍は、池田監督の手腕によるもであると誰もが認めるところですね。特に、監督がチームの力を最大限に引き出した手腕が注目されています。

世界的に見れば、パワー、スピード、体のサイズ(身長、体重)で劣る日本代表ですが、弱点を補う技術や体力、組織力を備えれば頂点に立つことができるという2011年ドイツ大会の経験をもとに、U20W杯チームをブラッシュアップして今大会に臨んだ池田監督は大会前からある程度やれるという自信があったことでしょう。

選手の起用方法、戦術が明確だという評判でしたが、その理由は選手の長所を見極めて最大値を引き出す能力に長けているからだと思います。

選手の長所を見極めるためには、選手をあらゆる面でよく観察することが必要です。また、所属チームでのポジションにこだわらず代表チームでの役割を決めるなど、選手全体の相乗効果を引き出すことが必要です。

少年サッカーでも、発育発達の途中であることから、1年を通してパフォーマンスが変動していく小学生の特徴をよく理解し、ポジションや起用方法を考えていくことが有効です。

池田監督は選手のプレーに対してとてもポジティブにとらえていて、ミスを引きずらないよう配慮しているように見えました。これが選手のパフォーマンスの最大値を引き出せる理由のひとつなのかも知れません。

進化する強豪国との力関係

なでしこジャパンは惜しくもスウェーデンに破れましたが、かつてのスウェーデンとの対決は、ロングボールの一辺倒な戦術が特徴でした。

平均身長が低い日本代表はロングボールによる攻撃が苦手で、スウェーデンは日本を苦しめてきました。

しかし、今回のスウェーデンは異なる姿を見せました。

ポゼッションや守備の進化により、圧倒的な支配力で日本に立ち向かってきました。結果的に前半は日本にシュートのチャンスを与えず、新たなスウェーデンの力を見せつけました。

なでしこジャパンだけが進化しているのではなく、世界の勢力図も変わって来ています。2011年ドイツ大会の前後はやはりアメリカが強く、パワーとスピードのサッカーが主流でした。

今大会は、アメリカやドイツなどの優勝候補が敗退し、スペインやスウェーデンなどが、個の技術や組織力を武器にして台頭してきました。

池田監督は世界の女子サッカーの戦力の動向を把握し、なでしこジャパンがすすむべき方向を明確にしてチームを作り、また、相手によって戦術を変えるという手法をとったと思われます。

パワーが劣っていても縦への攻撃をしっかり意識することで、カウンター攻撃を成功させてきたなでしこジャパンのパフォーマンスは決して偶然ではありません。

少年サッカーにおいても、体格がよくパワーやスピードを武器にするチームと対戦することがあると思います。小学生の一時期だけの強さに頼ることで、基本技術やグループ戦術がおろそかになる懸念もあるでしょう。

小柄なチームであっても、体格に恵まれたチームであっても、サッカーの基本スキルを磨いていくことで、チームも選手も成長することでしょう。

なでしこジャパンは、少年サッカーにおいて、比較的小柄な選手で構成されるチームの立ち位置と同じような感覚を持っています。

ボールを丁寧に扱うこと、ゴールに貪欲になること、ゴールを奪われない勇気あるプレーをすること。見る者がおもわず良いサッカーだと思えるようなチームづくりを心がけていきたいです。

柔軟な戦い方と輝く攻撃力

なでしこジャパンはグループリーグからの試合で、相手に合わせて柔軟に戦術を変える力強さを見せてくれました。

ノルウェー戦では、相手にボールを持たせてカウンターを狙うサッカーを見せました。スペイン戦でも相手にボールを持たせましたが思うような攻撃をさせない組織的な守備から、3シュートで3得点をあげました。

大会5得点をあげた宮澤ひなた選手の活躍は、彼女のスピードと決定力を熟知する池田監督とチームワークが生み出した結果と言えます。

歴代なでしこジャパンのW杯で最多の15ゴール。これは池田監督のもたらした攻撃的なサッカーのイメージそのものです。宮澤選手はもともとMFの選手ですが、FWの田中選手、植木選手などと連携して攻撃の幅を広げることができました。

少年サッカーでは相手に合わせてサッカーを変えるということはなかなか難しいでしょう。しかし、ロングボールを多用するチーム、ショートパスを多用するチーム、ドリブルを主体とするチームという大きな分類ができるので、それらに対応する方法をトレーニングしておくことはメリットがあります。

ロングボールを多用するチームには、ボールを縦に蹴らせないプレッシャーと、ターゲットとなる選手が自由にプレーできないようなマークが必要です。

ショートパス主体のチームには、パスの受け手をマンマークするかゾーンでマークするか連携した守備が必要になります。

ドリブル主体のチームには、カバーリングの徹底などが有効です。

いずれも守備の戦術ですが、ボールを奪うこと=攻撃という考え方で、できるだけ相手陣内でボールを奪い、手数をかけずにシュートを打つという攻撃のトレーニングがなでしこジャパンから学ぶサッカーと言えます。

まとめ

池田監督の手腕によるチームの進化は明らかであり、パリオリンピックでの活躍も楽しみですね。

三浦としては、これまでなでしこジャパンのエースとして活躍してきた岩渕真奈選手を外した時にとても驚きましたが、池田監督がチームと選手それぞれの未来のために決断したのだなと納得しています。

技術の活かし方、戦い方、交代のタイミングと意味など、明快でわかりやすい池田采配ですが、選手にわかりやすいということのメリットをつくづく感じとることができました。

素晴らしい指導理論を持っていても選手に理解されなければプレーに再現することはできません。

女子サッカーというスポーツの魅力はこれからさらに高まっていくと思います。スキルが高く、スピードに溢れ、決定力が高い女子サッカーは痛快なサッカーの魅力を増していくことでしょう。

そんな女子サッカーをお手本にすることは、少年期のサッカーに大きなメリットがあると思われます。目が離せません。

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