【少年サッカー】サッカーのコーディネーショントレーニングについて(喜熨斗勝史氏について)
三浦です。
サッカーの練習にコーディネーショントレーニングを取り入れることはとても有効です。
以前、リアルスタイルさんから喜熨斗 勝史(きのし かつひと)コーチの「サッカー選手/フットサル選手のためのSPEED・AGILITY・COORDINATION トレーニング」というDVDが販売されていました。とてもよく出来たDVDだったのですが、現在は入荷待ちになっているようです。
10年以上前になりますが、当時、小学生のサッカー上達法をいろいろと模索した時期でした。一般的なコーディネーショントレーニングは野球やバスケットボール向けのものがありましたが、サッカーに特化した喜熨斗さんのコーディネーショントレーニングはとても参考になりました。
日本人初の欧州代表チームコーチ
当時、喜熨斗さんは名古屋グランパスエイトや横浜FCのコーチを努めていました。横浜FCではカズのパーソナルトレーナーを努めたことでも有名です。
2021年より、ストイコビッチ監督とともにセルビア代表のコーチに就任。欧州代表チームのコーチを日本人が務める例はこれが初めてです。
喜熨斗さんは語学も堪能で、ストイコビッチ監督がセルビア代表監督を引き受ける時に喜熨斗コーチがスタッフに入ることが条件だったそうです。実際、監督代行を務めることもあり、日本人コーチが欧州で活躍し、また日本代表に戻ってくることがあれば、選手も指導者も世界クラスになるんだろうと期待しています。
ワールドクラスのコーチでもある喜熨斗さんの「サッカーのコーディネーショントレーニング」から、三浦が今もチーム練習に取り入れているメニューを紹介します。
喜熨斗コーチのコーディネーショントレーニング
「サッカー選手/フットサル選手のためのSPEED・AGILITY・COORDINATION トレーニング」のDVDは次のような内容でした。
- 定位トレーニング
- 変換能力
- リズムトレーニング
- 反応トレーニング
- バランストレーニング
- 連結・識別トレーニング
- コーディネーションサーキット
コーディネーショントレーニングというと、バランス能力やステップワークが基本になると考えていましたが、喜熨斗コーチのトレーニング内容は違いました。
この中で一番最初に出てくる「定位トレーニング」がこのDVDの中でとても参考になりました。
定位トレーニングについて
定位トレーニングとはズバリ言うと、パスを成功させるためのトレーニングになります。
味方やボールを目で捉えて、自分がどう動けばいいのか、ボールを蹴る強さ、味方が走る速さ、自分が走る速さを含めて「定位トレーニング」の中で解説していました。
サッカーの試合で当たり前に行っている「動いている味方にパスを出す」というプレーも、コーディネーショントレーニングの考え方では、「味方が走るスピードとボールを蹴る強さの調節」ということになります。つまり、ボールコントロールと判断力の総合的なプレーですね。
味方からパスをもらう動きも同じで、味方から出たボールのスピードに合わせて走るスピードを調節するという動きになります。この動きを細かくみると、ステップワークの種類、ステップの速さを調節するという動きの連続であることがわかります。
トレーニング方法
2人で行うトレーニング方法を紹介します。
・マーカーを3角形に配置します。間隔は10m程度で行います。
・ひとつのマーカーにボールを持った選手が立ちます。(コーチでもいいです)
・もうひとつのマーカーにパスの受け手となる選手が立ちます。
・のこるマーカーに向かってパスを出し、受け手とボールがピタッと一致するプレーを目指します。
ポイントは次の内容です。
・パスを出す選手は、コーンの周りをドリブルで一周する。一周したところでルックアップする。
・パスの受け手はボールを持った味方の顔が上がった瞬間を見逃さないようにして、顔があったらスタートを切ります。
・パスを出す選手は、味方の走り出しに合わせてボールを蹴ります。
・パスの受け手は、コーンの手前でボールに出会うようにスピードを調整します。
とてもシンプルな方法です。
誰もいないコーンの変わりに、コーンを2m間隔で四角形に配置して、その中でパスを受けるというメニューもありました。
また、そのような「出会うポイント」を複数作り、パスを受けたらリターンで返し、次の出会うポイントでリターンを受けるというメニューもありました。
サッカーのコーディネーションのあり方
コーディネーショントレーニングは6歳から始めることが理想で、8歳から12歳にもの凄く能力が伸びるので、ぜひこの時期を逃さないで欲しいというのが当時の喜熨斗さんのコメントでした。
また、印象的な言葉は「子供たちにとってサッカーのゲームが一番むずかしい。その難しいゲームでよいプレーが出来るようにどんなトレーニングをすればいいかを考えることが大事」ということです。
子供たちにとってサッカーのゲームは楽しいものだと思っていましたが、スキル的には一番むずかしいものだと再認識しました。だからこそ、練習の最後に行うゲームをより楽しく行えるようなトレーニングをすることがコーチにとって大切なことという言葉にハッとした記憶があります。
コーディネーションとは、普段の生活の中にもあって、家庭での生活で、ちょっと離れた場所にあるクズカゴにゴミをポイと捨てるような動作など、意識しないでほとんど「勘」でやっているような動きの積み重ねとのことでした。
サッカーのためのコーディネーショントレーニングをDVDにまとめたけれど、端的にいうと
「いかに的確に、スムーズに、効率良く自分の体を動かすのかという能力がコーディネーションという能力です」
とのことでした。
まとめ
喜熨斗コーチのレポートを読んで、間違った指導とは何かという質問に次のように答えていました。
コーディネーションのトレーニングというのは、基本的に運動神経を鍛えるという部分が非常に多いので、疲れた状態でやってもしょうがないです。
だから、無理やり追い込んで、何本も何本もやって、やればやるほどうまくなるということではなくて、フレッシュな状態で、集中した状態で正確に動かすようにやってあげなければいけない。疲れを残さないようにやってあげるのが、ひとつのコツというか、ポイントになります。
サッカー少年たちは疲れを知らないかのようにトレーニングをしますが、それをコントロールするのは指導者や保護者です。
ましてや、指導の中で選手を追い込み、疲労していても動きを求めるということは選手にとってマイナスでしかない。
今回、この記事を書いて、あらためて喜熨斗コーチの言葉の重さを再認識しました。
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