少年サッカーに必要な熱中症予防の知識と練習方法の工夫について

三浦直弥 講師

三浦です。

一気に梅雨が明けました。

長いことコーチをやっていますが、こんなに早く梅雨が明けたのは始めてです。

梅雨の時期はクレーのグラウンドだと泥でぬかるむことがあり、ボールコントロールのトレーニングがやりずらいので、体育館やフットサルコートを予約するなど気を使ってきました。

このままだと今年はグラウンド確保に悩まなくてよいのでしょうか?

暑熱順化について

コーチは天気予報を見ることが日課のひとつです、特にここ数年は熱中症予報を特に注意して見ています。気温だけでなく湿度、日差しなど複合的に分析しているのでとても便利です。

例年にない梅雨明けを迎えたこの時期、コーチや保護者がやらなければならないことは熱中症予防です。

小学生の選手たちに必要な熱中症予防のひとつに「暑熱順化(しょねつじゅんか)」があげられます。

徐々に暑さに慣れていくということです。

3月頃から気温が上がり、新年度の4月になると日差しが強くなってきます。選手たちは4月から暑熱順化をしていきます。5月のGWあたりは特に日差しが強くなり気温もあがり、全国的にもこの時期が1年でもっとも紫外線が強く、熱中症が発生しやすい時期だそうです。

本来であればこのような季節の移り変わりの中で「暑熱順化(しょねつじゅんか)」していくのですが、今年はそうはいかないようです。

汗をかく能力

よく「一気に気温があがって体がついていかない」という表現を聞くことがありますが、体がついていくとはどういうことでしょうか。

それは「汗をかく能力」のことです。人間は汗をかくことで体温の上昇をおさえます。4月から5月にかけてまだ汗をかく能力が高くない選手は熱中症になりやすいとの事です。

いつも練習で汗をかいている選手たちですが、ある程度の高い気温、高い湿度、強い日差しという条件下で体を動かして汗をかかないと「暑熱順化(しょねつじゅんか)」していかないそうです。

汗をかくことがわかっていれば、あらかじめ水分を補給しておくことで汗をかく準備ができます。体内に水分がなければ汗をかくことができないので、計画的に水分補給をすることが大事です。

今年は暑さになれる期間が短かったので、水分補給以外にも練習内容に工夫が必要になるかもしれません。

汗のかき方を観察する

三浦はいつも練習中に選手を観察していますが、暑い時期は特に汗の出方を注意して見ています。

グラウンドに歩いてくる時点ですでにひと汗かいて、練習前のボール遊びでも汗をかいている選手たちは、練習開始時点で水分補給が必要です。

注意したいのは自家用車で送迎されてくる選手です。エアコンが効いた車から出てすぐに動き始めたら体がついていきません。ギャップが大きいです。

その日始めて運動するような選手にはコートの周りを歩くことがウォーミングアップです。

選手をよく見ていると、顔が赤くなってもなかなか汗が出ない状態を見ることがあります。これは体に熱がこもって汗をかくまで時間がかかっている状態です。ひと汗かくまで調子がでないタイプです。

逆に、ウォーミングアップで汗だくになる選手にも注意です。大量の汗をかくことで体の中の水分が枯渇してしまう可能性があります。

そのような選手の水分補給では真水やほうじ茶でなく、塩分などミネラルを多く含むドリンクを飲むよう指導しています。

保護者がスポーツ経験者だったりすると、塩分の錠剤(タブレット)を子供に持たせたりしますが、正しい飲み方でないと塩分の取り過ぎで喉が乾いてしまいます。

じわっとかく汗は見ていて健康そうですが、滝のように流れる汗を見ると体への負担を感じます。

そして、汗をかけなくなると本当に汗がとまります。他の選手たちは汗をかいているのにサラッとしている選手がいたら要注意です。体に触ると熱をもっていることがあります。

様子がおかしいと思ったら迷わず救急車を呼ぶ。軽症だとしても放置したら取り返しがつかないことになります。

練習方法の工夫

熱中症を防ぐための練習方法をいろいろと工夫してきました。こまめに休憩を入れること、練習時間そのものを短くすることが取り組みやすいですが、練習メニューも工夫しています。

ミニゲームでの工夫

少年サッカーではスモールサイドゲーム(通称ミニゲーム)を積極的に取り入れることで上達が早まります。

しかしミニゲームはコートが小さいので運動量も小さいように思われがちですが、ストップ&ゴーを繰り返すので心拍数が上がりがちになります。

そして、ついつい夢中になって自分の疲労を感じないままプレーを続けることで気づいたらグッタリしていたということもあります。

ミニゲームをする時は、ゲームが連続しないようにゲームとゲームの間にインターバルをいれます。2チーム作れそうなら3チーム作って、1チームが必ず休めるようにすることです。

練習そのもので飲水タイムや休憩を設けていますが、練習メニューの中にも休憩を挟む工夫です。

シュート練習での工夫

シュート練習でよく見られる光景として、ペナルティエリア外に縦に列を作って順番を待つというものがあります。時間の割にボールに触れる回数が少ないので、効率的ではない練習方法と言われていますね。

三浦はあえてこの練習方法を取り入れています。待っている間に飲水自由です。自分の番が来たらキッチリ決めることがテーマです。

タイマーを使う

1対1や2対2でミニゴールを用いてシュートで勝ち負けを決める練習メニューは選手たちの人気が高く、練習効果も高いものです。

しかし、暑い時期はシュートを決めるまで続けるという方法はついつい夢中になってオーバーヒートを招くことにつながります。

工夫としては30秒や1分などタイマーを使って細かく時間を区切ることです。選手たちの集中力もあがります。

もう少し時間があれば決められたのに!という選手の顔を見たら「時間内に決められるように練習して上手くなれ!」と言います(笑)

この他のメニューでも、タイマーを用いることで選手だけでなくコーチが夢中になることを防ぐことができます。

タイマーはスマホの機能で十分ですが、電子アラームやストップウォッチなど専用グッズもあります。

ポイントは、同じ強度を1分以上続けないことです。(逆に冬場は1分以上続けていますが)休憩を挟んでも体が冷えることはないので、十分休憩して次のメニューに移ることを意識しています。

選手たちが乗っているときに練習を区切りたくないコーチの気持ちはよく分かりますが、練習は1回だけではありません。夏場は調子を落とさないことを目標に練習メニューを考えるべきです。

家庭での観察が大切

選手たちには暑さに対して強い、弱いという個人差があります。そして自分で計画的に水分を補給できるかどうかという家庭環境の違いもあります。

暑さに強く、自分で水分補給が出来ている選手だとしても過信は禁物です。たまたま睡眠不足だったりして体調が崩れることがあります。その日のコンデションで判断することが大事です。

保護者の方々も日々の生活の中で子供のコンデションを把握していると思います。いつもと違うと感じたら、選手本人やコーチに伝えられるといいです。

コーチと保護者の連携で選手を育てることが少年サッカーには必要です。

 

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