「試合を読む」という選手がチームには必要です。
なでしこジャパンのリオ五輪予選ですが、残念な結果になりました。
世界一に輝き、オリンピックでも銀に輝いたあのなでしこジャパンがこのような結果に終わるとは・・・・
東日本大震災から5年が経とうとしています。
2011の女子ワールドカップの活躍は、当時の日本国にとって復興の心の支えになってくれました。
世界一を奪い取ったその姿に勇気をもらったものです。
そして5年後の今年。
澤選手が引退し、ベテランも高齢化。
若いなでしこジャパンは、力を出しきれずに黒星を重ねてしまいました。
マスコミは、澤さんが引退したことによるショックや佐々木監督のマンネリ化などを書いているようです。
私はそのようなことよりも、他の国が日本をよく研究しているなと感じました。
以前のなでしこジャパンは「まるでバルセロナのようだ」と言われるほどパスワーク、ポゼッションを得意とするチームでした。
しかし、今大会はどうでしょうか。
他のチームが日本を研究し、日本にボールを渡さないという戦術にでたように思います。
いくら技術が高くても、ボールを持たしてもらえなければシュートを打つことさえ出来ません。
そんな相手チームに対して、なでしこジャパンも失点をしなければチャンスを活かすことも出来たと思いますが、相手ゴールをこじ開けることやゴールを死守するというところで差がついてしまったように思います。
熊谷選手や阪口選手そして宮間キャプテンと軸となるメンバーは世界一になったチームから変わっていません。
研究されるということ、また、それを打開するということの難しさを感じました。
私たちアマチュアコーチもスカウティングと言って、相手チームを研究することがあります。
システムや戦術の他に、エースの利き足やバックの選手の利き足なども観察します。
右足でしかシュートを打てないエースの場合は、右足を封じ込めます。
また、左バックで左足で正確に蹴れないとそこはウイークポイントになるのでボールを奪うポイントにもなります。
まあ、細かくスカウティングして選手に伝えても、行動に移せる内容は3割ぐらいでしょうか。
私は相手のウイークポイントを突くよりも自分たちのストロングポイントを出しきろうという方針なので、3割でもオッケーです。
ただし、相手の得意パターンを知っていてみすみすやられてしまうということも残念ですね。
サッカーはやはり「頭脳」も大切です。
ところで、佐々木監督は、常に新しい選手を使って男子とは違う意味で新陳代謝を心がけて来たと思います。
事実、新たな戦力も育ってきました。
なでしこジャパンに、何が足りなかったのか。
小・中学生を指導する私にとっても非常に深刻な課題です。
ひとつは、新陳代謝という目的で新しい選手を起用することはよいのですが、5年前のメンバーからガラッと変わってしまい試合経験の乏しいメンバーになってしまったのではないか?
育成年代の小・中学生では、メンバーをどんどん変えて競争意識をあおるということをします。
しかし、世界の頂点を極めたなでしこジャパンにとってメンバーをどんどん変えるということは、かなりリスクのあることです。
しかも、精神的、技術的支柱となっていた澤さんが引退したこと。
これは敗戦の大きな課題だと言えるでしょう。
私が試合を見ていて思ったことは、男子サッカー同様ですが「試合を読む」という選手が不在だったのでは?ということです。
男子では遠藤保仁選手がその役割でした。
女子では澤穂希選手がその役割でした。
試合を読むことが、勝敗にどれだけおおきな役割を果たすのか。
サッカーは決まった時間で勝負をつけます。
少年サッカーでは前後半で40分です。
40分攻め続けることが試合に勝つ秘訣ではなく40分後に相手よりも1点多くゴールしていれば勝てるのがサッカーです。
育成を目的として、どんな試合でも40分間を激しく動きまわることが推奨されていた時期もありました。
現在もハードワークをフルタイムで行おうというチームも多いでしょう。
でも、動きだけでなく、存在によってチームを動かすということは小学生でも見られる光景です。
チームゲームのサッカーは全員で攻撃して全員で守るのですがピッチの中には、やはりチームの判断を任せられる選手がいるはずです。
空気を読むとか試合の流れを読むとか、場を読むというセンスは小学生や中学生でも意識して指導して行きたいと考えています。
相手チームのこのパスが通ったら危険だ!とか相手チームのマークがずれた瞬間にチャンス!と思うこととか。
このような相手とのかけ引きは、ゴール前で特に重要になります。
ミニゲームなどで、やみくもにシュートを打つのではなく、相手とのかけ引きを意識することで、「センス」が磨かれると思います。
ボールばかり見ない、相手を見ること。
ぜひ、練習で心がけてみて下さい。
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