【サッカーの本質】“駆け引き”と“ハングリー精神”をどのように鍛えるか vol.1
今回は、「“駆け引き”と“ハングリー精神”をどのように鍛えるか vol.1」というテーマで書いていこうと思います。
なぜ、vol1というカタチにしたのかというと「”駆け引き”をどのように鍛えるか」という部分だけで結構なボリュームになってしまったからなんです。
それだけ大切なテーマであるということをご理解いただければと思います。
“駆け引き”が上手いアルゼンチン
毎年、日本で行われている「東京国際ユースサッカー大会」という14歳以下の国際大会を取材しているのですが、そこにアルゼンチンの名門ボカジュニアーズが参加しているんです。
初めて大会の取材をした時、彼らのプレーを目の当たりにして衝撃を受けました。
ボカジュニアーズの選手たちのピッチでの圧倒的な表現力は日本の子供たちをはるかに凌駕するものでした。
彼らのプレーを観て最初に感じたのは、”駆け引き”の巧さです。
パスを出すフリをして、ドリブル、と見せかけてパスしてワンツーしてみたりと日本でいう駆け引きが上手い選手の一つ上をいくエグさがあるのです。
とりわけ印象的だったシーンがあります。
逆サイドにフリーの選手がいるのにも関わらず、密集した狭いサイドを攻め続けるんです。なぜ空いてるスペースを使わないのだろう?と思ってよくみていると、相手の弱いサイドを執拗に攻めているんですね。そこから連続で得点を重ねたあと、ボールをゆっくりと回して時間を使いながら試合をコントロールする戦術に変えたんです。
14歳以下の子供たちとは思えませんでした。
彼らの”駆け引き”の上手さを見てアルゼンチンという国のサッカー文化の深さを感じました。
それでは、“駆け引き”はどうしたら上手くなるかを考えてみましょう。
“駆け引き”を知らない指導者たち
日本の少年サッカーの現場をみていると、多くのチームが”駆け引き”なしのフィジカルサッカーを展開します。
キック力の強い子がディフェンダーに並び、足の速い子が前線にズラリ…
こんな時代遅れのチーム、驚くことにまだたくさんあります。
そして最近増えてきたのが、バルセロナやマンチェスターシティを真似ているのか、とにかくたくさんパスを回すことを大事にするチーム。
サイドバックにボールが入ったら、ボランチが下がって受けて、ボランチは逆サイドに展開して… という機械的で相手より早くプレーすることだけにこだわり、“駆け引き”など一切ないプレーをするチーム。
これでは当然、アルゼンチンやスペイン、フランスなど、海外の強い国に勝てるわけがありません。
相手の予想を超えるプレー、予想外のプレーをし続けなければサッカーの試合には勝てないのです。
「サッカーは騙し合い」とよく言いますが、つまりは”駆け引き”が重要なのです。
一般的に日本では、サッカーを教える時、まずは基本ということでインサイドキックの蹴り方、ドリブルの仕方などを丁寧に教えることからスタートします。
これがまずダメなのです。
サッカーの基本は”駆け引き”
サッカーの基本は”駆け引き”なのです。相手をいかに欺くか、出し抜くかを楽しむことからスタートする必要があるのです。
サッカーの基本の伝え方をこのように変えることで、劇的に子供たちが変わります。
というのも、私自身が変わったからです。
現在、名古屋グランパスの監督をしている風間八広さんが大学時代の監督だったのですが、まさに彼にそのように教わったからです。
「サッカーの基本は”駆け引き”だ。それを知らないやつに”止める蹴る”などできるわけがない」
普段の練習の中でそう言われ、チームのみんなのレベルが上がっていきました。
そして、私は自分が当時指導していた小学生たちにも同様のことを伝え続けたのです。
その結果、私たちコーチ陣が外から見ていても子供たちが何をするかわからないワクワクするようなプレーを見せてくれるようになったのです。
サッカーの基本は”駆け引き”である。
ぜひ、この考え方を覚えておいていただければと思います。
それでは、次回もお楽しみに!